奈良エナミ(1977年生まれ、北海道出身)は、村上隆氏主催のGEISAI#10で金賞を受賞後、2008年より財団法人ポーラ美術振興財団在外研修員として1年間ニューヨークに滞在。これまでに「JUMP」(2006年、トーキョーワンダーサイト本郷)、「refigure」(2008年、GALLERY at lammfromm/ラムフロム・ザ・コンセプトストア)、「LIFE」(2010年、Bambinart Gallery)と新作個展の発表を重ねてきました。代表的な作品シリーズに、「skateboarding」「fight」「audience」「bed」「cemetery」などがあり、本展ではこれまでの奈良の代表的なモチーフを一堂に展示、すべて新作で発表します。
奈良の作品は、ある行為や風景のイメージを切り取り、それらの形象そのものが単純化され、版を重ねるようにして描かれています。人が殴り合うシーン、相似するイメージが連続する群衆や墓地など、形象を際立たせて描かれた作品は、その形象に付随する本来の意味が希薄になり、ただその輪郭のみを浮き立たせます。
感情が爆発する人々(fight)、時に危うさを伴って見る側にも見られる側にもなりうる人々(audience)、そして必ず人々は眠り(bed)、またそして誰しもが死に至る(cemetery)。いろんな出来事が起こりながらも、淡々とあるいは粛々と繰り返される人々の営みを、奈良は、人智の及ぶところではないものとして、抗うことなくただ描き続けています。
本展では、「fight」「audience」ほか、最新シリーズの「cemetery」など5シリーズの新作を発表いたします。