服部が被写体とする人物は、個性派俳優か演技派の渋い役者のように見えます。 決してホームレスには見えないでしょう。それは服部自身が彼らと触れ合い、人間関係を築くことからはじめ、互いに信頼しあうことで見せる表情だからかもしれません。 私たちが「ホームレス」と一括りにして、理解しようとも関係しようとも思わない方々に対し、服部は人間的魅力を感じコミュニケーションを取り、信頼を得てレンズを向けます。 認めたものが向けるレンズに、彼らは本来の姿を見せているのでしょう。
私たちには見えていない、あるいは見ようともしていないことがたくさんあります。面倒で関わることが億劫な物事の中に、私たちが失った多くのものが残っているのかもしれません。
【アーティストより】
ホームレスのフトシさんが作った、すてきな詩をご紹介します。
フトシです
蛍をつかまえて電気代を節約してるとです
フトシです
寂しかったのでお墓のお母さんに添い寝してもらいました
フトシです
道路に大の字に寝ていたら
車がUターンしました
快感だったとです
今は亡きフトシさん
最後の時はお腹空いていなかったかしら
服部菜つみ