1982年、福岡県に生まれた喜多村みかと、同年岡山県に生まれた渡邊有紀は、東京工芸大学芸術学部写真学科にて写真を学びました。大学在学時(2002年)より互いを被写体として撮影、制作した共同制作作品「TWO SIGHTS PAST」は、2006年のキャノン写真新世紀で優秀賞を受賞。2009年には、ブダペストにあるLUMEN GALLERYにて本作品を発表しています。
本作品内での喜多村と渡邊の関係性は、友人であり、撮影者であると同時に互いの写真の被写体でもあります。長く時間を一緒に過ごし、互いのリズムや間の置き方を理解し、また撮る側撮られる側としての意識を持つ二人であるからこそ捉えられる瞬間があります。 二人が普段生活する場所や、またそこから遠く離れた場所であっても、互いがレンズを向けるのは常に互い。そこには客観性と主観性が折り混ぜられた二人の「時間」が写し出されています。
「撮影を始めてから9年になります。
時の経過とともに、2人の関係も、環境も、写真に対する姿勢も変わりました。
もちろん、容姿もそのひとつです。
被写体としての意識が途中から加わったことも、昔とは大きな違いです。
ただ、今も、目の前にいる相手との時間を残そうとする、その喜びは変わることなく続いています。
これからも、ひとりの被写体を撮り続けることの意味を、そして時間の経過がもたらす様々な変化や感情を
写真というかたちで残し続け、ゆっくりと時間をかけてこの作品を仕上げていければと思っています。」
喜多村みか 渡邊有紀
本展ではLUMEN GALLERYでの展示の際に、二人が滞在したハンガリーで撮影された写真を展示いたします。