このたびBambinart Galleryでは、野口哲志(のぐちさとし)個展「No Tales」を開催いたします。野口は1994年埼玉県に生まれ、現在は東京芸術大学に在籍しています。弊ギャラリーでは、昨年12月に開催したグループショウ「LANDSCAPE」展への参加に続く紹介となり、本展が初個展です。
「埼玉県北部の深谷に生まれ、郊外というには都心からずいぶん離れ、かといって田舎のように風光明媚でもなく、川といえばコンクリートに囲まれた側溝という環境で僕は育った。かつて煉瓦造りと紡績業で栄え、祖父も養蚕業で稼いでいた時代からときは過ぎ、静かに何かが閉じられようとしている。その衰微する気配のなかで、人が自らのなかに持つ虚無の源泉を感じている。その正体を具現化することが、いま現在の制作の目的だと思う」 (野口哲志)
古き良き時代の景観を残した街並みも、世代や価値観が違えば時代に取り残された景色として映り、懐かしさなどなく、ただ不穏な未来を暗示するものとして映るのでしょう。与えられた知識ではなく、体感し、共振した感性を頼りにし、また同時に自ら生まれるイメージを疑い、トライ&エラーを繰り返して、まだ見ぬ絵画を描こうとしています。どうぞご高覧ください。