このたびBambinart Galleryでは、「LANDSCAPE:detour for White Base」と題し、グループショウを開催します。本展では、東京芸術大学の芸術祭を舞台に実験的な合同発表展「White Base」を重ねるアーティストのグループをフィーチャー、1988年から1994年に生まれた6名の若いアーティストによって、ランドスケープが描かれます。
参加アーティストのうち、川田龍は西洋絵画を表層的に切り取り、再構成し更新することに主眼を置き、多田恋一朗は妄想と現実のシームレス化をテーマに、絵画を中心としたインスタレーションを発表。都築拓磨は自身のワールドに備わる聖性を二次元テクニックで可視化し、野口哲志は自らのリアリティを探るように具象と抽象を行き来し最新のWhite Baseでは天井に絵画を展示しました。布施琳太郎は唯一映像科に在籍し、素材や手法、次元を横断した制作とともに自らも企画をするなどしており、村松大毅は支持体の特に木枠への意識を集中し、変容・拡張しています。
それぞれ制作のベクトルや手法の違いがあるアーティストに与えられた「LANDSCAPE」という同一の負荷は、時代の本質を抽出する一つの方法として機能することでしょう。そして前近代的でシンプルなテーマ「風景画」は、新しい視点を伴って、私たちにその姿を見せてくれることでしょう。
White Base ;
「大学の学祭は、簡単な申請だけで展示場所が手に入るので、昨年の夏の学祭で「White Base」の第一回が気楽に開催された。テーマは「絵画」になった。なぜならボクたちは10代後半の多感な時期を受験のためにタブローを無数に描くことに費やしてきたので、「絵画」というものを入り口に芸術について考えることが必然となっていたからだ。大学に入学し、表現のメディアが絵画ではなくなったとしても、ボクたちの表現の入り口には常に絵画がある。
壁や壺の上で、神話の表現技法としてタイムライン状に扱われるのが一般的だった絵画であったが、新しい技術によってそれは困難になった。ジョットの時代から少しずつ育まれてきた「観察描写」とルネサンスに生まれた「透視図法」が融合することで、タブローの上には連続した物語ではなく、象徴的なワンシーンが描かれるようになる。そしてこの2つの技術を用いる中で、画家たちは山や海を、自然を、よく見るようになった。そして彼らは「風景」を発見する。タブローの画面から神話が排除されることで、人々は初めて、風景というものを見つけることができた。
では現代において風景とは、自然とはなんなのか?それは数百年前のものとは異なるだろう。ボクたちが様々なメディアで行ってきた実践が「風景の再発見」という形で結実するとき、「新しい自然」が発見されることだろう。これは最もラディカルな芸術の実践の1つである。タブローという500年の歴史の上に、どのような視点がオーバーラップされるのだろうか。」