このたびBambinart Galleryでは、スクリプカリウ落合 安奈 個展「trance」を開催いたします。1992年、埼玉県に生まれたスクリプカリウ落合は、2016年、東京藝術大学美術学部油画専攻を首席で卒業、現在は東京藝術大学大学院 GAP(グローバルアートプラクティス)専攻に在籍し、制作活動を行っています。
2012年以降、継続的にインスタレーション作品を発表しており、主な作品に、写真メディアを主としたインスタレーション「向こうの、うらがわ」(2015)、写真と映像、サウンド、ミクストメディアを用いてインスタレーションした「明滅する輪郭」(2015)、複数のインスタレーションを再構成した「it is the furthest = it is the nearest」(2016)など素材やメディア、表現手法に捉われないインスタレーション作品を制作・発表してきました。また今年の2月には、本展につながるインスタレーション「Intersect」でライトボックス、幻灯機を用いた作品を制作し、発表しました。
「当初は身体という器と精神の関係性や、境界(主に皮膚)によって隔てられた内と外の関係に注目したインスタレーション作品を発表してきました。しかし、2015年に石橋財団の奨学生として、トルコのイスタンブール、ポーランドのアウシュビッツ・ビルケナウ収容所、ドイツのベルリン、スコットランドの聖マンゴー宗教博物館を巡る2ヶ月間の一人旅を経験したことが、それまでの作品に大きな変化をもたらしました。それから今日に至るまで、文化人類学なテーマに関心を寄せ、“距離や空間、時間を超える物事”、“所在のない浮遊感”、“相反する事が同時的に起こるときに生じる歪みやズレ”をモチーフとして作品を制作しています。同時に、マイノリティーや区別や差別、偏見という現象に、作品でのアプローチを試みています。最近では、日本とルーマニアの祭礼・儀礼・信仰 をリサーチし、“見える世界と見えない世界”、“過去と現在”をつなぐものを捉えるという長い時間を要するプロジェクトに取り組んでいます。本展覧会「trance」は、これまでとこれからをつなぐ重要な展覧会になると考えています。」(スクリプカリウ落合 安奈)
スクリプカリウ落合は日本(東洋)と ルーマニア(西洋)という2つの離れた国の両親を持ち、日本という島国で育ちました。そのバックグランドが、作品にも少なからず影響しており、重ねることや、レイヤー(層)を作ること、ズレることや交わることへの執着が、表現の特徴的な要素となっています。本展では、親族の写真をそれぞれ二枚ずつ向かい合わせに重ね、ライトボックスで照らしたシリーズ「One」と、古い日本と西洋のイメージが天体のように空間を巡る、幻灯機を用いたインスタレーション作品を中心に紹介します。