このたびBambinart Galleryでは、現代アーティストによる静物画を紹介するグループショウ「Still Life」を開催します。
現代絵画のテーマとしては古めかしく、そぐわない印象を与える静物画ですが、現代においても絵画や彫刻のみならず、写真や映像、インスタレーションなどのさまざまな表現手法で制作され、Still Lifeと題された作品が世界中で発表されており、芸術の重要なジャンルの一つとして多くのアーティストに取り組まれています。
静物画は、古代ローマの壁画に描かれ、一度は廃れるものの、15世紀には宗教画としての役割を備えて再び見られるようになり、16世紀以降デューラー、カラヴァッジョ、レンブラントから、シャルダン、ゴヤ、ドラクロアと、時代や様式を超えて描かれてきました。19世紀後半には、セザンヌやゴッホらによる代表作が生まれ、前後して印象派、ポスト印象派からフォーヴィスム、キュビスムに至るまで多くのアーティストが取り組み、以降も様式の変化にあわせ、さまざまな作品が描かれています。
現代の静物画は花や果物の絵とは限らず、モチーフを集合体を構成する物そのものと考え、構成を重視するような作品であったり、また「ファウンド・オブジェ」の考え方に触発された1960年代初頭のポップアートの影響で、どこでも手に入るような日常品が描かれたりしています。新しい手法や様式をもって多様な問いを追究する現代アーティストにとって、静物画は常に枠組みが拡大され、無限の可能性を備えたジャンルなのでしょう。
本展では6名の現代アーティスト、磯村暖(1992年東京都生まれ)、オオトモクミコ(1979年福島県生まれ)、川田龍(1988年新潟県生まれ)、多田恋一朗(1992年東京都生まれ)、林祐衣(1989年福岡県生まれ)、槇本惠(1990年神奈川県生まれ)による新作ペインティングを発表します。現代のアーティストが描く静物画は、何を指し示しているのでしょうか。どうぞご高覧ください。