このたびBambinart Galleryでは、武田 竜真(たけだ・たつま)個展「empty」を開催いたします。
武田竜真は1988年熊本県天草郡に生まれ、多摩美術大学在学中は絵画を中心とした制作に取り組み、2011年トーキョーワンダーウォール大賞を受賞。一転、卒業制作では自らの出生地である天草の歴史を背景に、マリア観音像を再解釈した立体と映像によるインスタレーション作品を発表しました。卒業後は渡独し、現在はドレスデン美術大学に在籍し、Martin HONERTに師事しています。
本展では、宗教画を下敷きにしたエンプティ・シリーズを発表。生まれ育った天草という原風景を抱え、日常生活をドイツで過ごす武田にとって、宗教画の存在は興味深く映ります。
「本来の役割を終え、現在は美術館の所蔵作品=芸術作品として存在する『宗教画』は、描かれている崇高なイメージとは裏腹に、観光客の前でどこか空虚感を漂わせているように感じます。そのような鑑賞する側とされる側のあいだに発生するギャップを描き出すことで、当時とは違う、現代に生きる人々の宗教観が見出せると思います。また同時に、絵画が何であるのかという根源的な問題に回帰することにも繋がります」(武田竜真)
エンプティ・シリーズでは、武田が暮らすドイツの美術館で観た絵画をもとに制作、またポスターやポストカードに描いています。その町に住み、美術館に訪れ、何度も鑑賞することで、絵画側の視点で、現在の美術館や鑑賞者からどのように位置づけられているのか、またどのように鑑賞されているのか、現代の姿が描き出されています。