このたび、Bambinart Galleryでは2012年11月21日(水)から12月9日(日)まで、福嶋さくら“blue background”を開催いたします。
福嶋さくら(1987年、熊本県生まれ)は、作品全体の印象をペインティングで表現し、モチーフを刺繍で描くように形作っています。メランコリックでどこか懐かしく感じるのは、わたしたちが子供のころに体験し、記憶の彼方に置き去りにしてきた景色のパーツを画面の中に発見するからかもしれません。
また絵具と糸で棲み分けられた色彩が、いくつかの時間軸を共存させ、遠い記憶と感傷を呼び起こすからでしょう。
本展では、新作ペインティングを中心に発表します。
経験した記憶は、時間の経過とともに徐々に削ぎ落とされ
自らのセンサーにもっとも強く反応した要素だけが、核として残る。
そのうち
新しい知識や体験、理想なんかが加わるうちに、
ほんのりと別の要素 が肉付けされて
その記憶そのものが少しずつ変化していく。
まったく同じ経験をしたもの同士でも、完璧な記憶の共有はできないだろう。
それを悲しく思うときがよくある。
わたしは、自分の中に残った記憶ごとの要素について見つめなおし
それを新しい適所に配置して眺め、愛でてみることにした。
福嶋さくら